「自閉スペクトラム症」は、昔は主に「自閉症」と呼ばれ、少し以前は「アスペルガー症候群」という名称でも有名になり、最近は「発達障害」と言う総称で普及してきました。しかし最新の日本精神医学会のDSM-5の翻訳では「神経発達症」の中に含まれる障害とされています。その自閉スペクトラム症は次の特性を持つといわれています。
以下の特徴が、複数の状況(家と学校など)で見られることがあります。
人との距離が近すぎたり、あるいは逆に近づけない、場面に関係なく会話が妙になれなれしかったり、誰にでも敬語を使うなど妙によそよそしい会話に終始するなど。また相手の興味・情動・感情を察することができないなどの対人関係の問題です。
視線を合わせることが苦手であったり、身振りや表情から相手の意図を読み取ることなどの、非言語コミュニケーションの問題です。説明すれば理解はできる場合もありますが、直感的に察するということが苦手です。
その場に合わせた行動や、他者と同調することに興味がなく、友人や仲間との人間関係を作ったり、発展させていこうという意欲がない場合があります。
上記の特徴に加えて、次のような特徴も見られます。
おもちゃを一列に並べたり、相手の言葉のオウム返しが見られたり、身体を前後に揺らすなどの常同行動が見られたりします。それが自分を傷つける自傷行動に至る場合もあります。
毎日同じ手順で行動したり、同じ道順をたどったり、小さな変化や場所の移動に苦痛を感じるなど、習慣づいた儀式的で柔軟性を欠いた思考や行動が見られることがあります。
過度に限られた興味関心が強く、その世界に没頭することが見られます。いわゆる「趣味」の程度を越えるほど過度に固執した収集癖や専門的な知識を身に着けることもあります。
会話や生活音が全て耳に入る「聴覚過敏」、光がまぶしい「視覚過敏」、身体に触れられることが苦手な「触覚過敏」、偏食の原因となる「味覚過敏」「口内過敏」などがあります。
「発達」の障害となると、幼児や子ども時代に多く見られ、気づかれる問題です。ですがこのような障害は程度の軽重は変化しても大人になってもその影響が残ると考えてよいでしょう。そういう意味で昨今では「大人の発達障害」の問題が大きくクローズアップされるようになってきています。
またこれらの特徴が日常生活や学校・職業生活において大きな支障をもたらしていない場合、いわゆる「治療の対象としての障害診断」が下りない場合もあります。とはいってもたとえ軽い症状でもいわゆる「生きづらさ」や「学校・仕事上のトラブル」につながる場合が多く、障害があるか、ないかという区分ではなく、軽い状態から重い状態まで続く「スペクトラム」と言うとらえ方をした方が理解できると思われます。
現時点で障害そのものを完全に消失させる治療・対応はありませんが、薬物療法による症状の改善や認知トレーニングを通じた苦手な特性の底上げ、応用行動分析やTEACHなどの行動面からのアプローチなどが行われています。
また障害からくる周囲との軋轢やトラブルが引き起こす二次障害(自信喪失・うつ・孤立感・屈折からくる問題行動等)への対応も欠かすことができないでしょう。アートセラピーなどのカウンセリングや認知行動療法などが行われる場合もあります。
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