絵本「ごめんなさいが いっぱい」

 

<「ふうちゃん、だいじょうぶなんやろか」

「はしったり、えを みて かんがえたり、かずを かぞえたり。

 おねえちゃんが ふうちゃんぐらいの ときには できてたのに、

 ふうちゃんには できなかったり まちがったりすることが たくさんある・・・」

「おまけに このごろは すぐに 『ごめんなさい』って いうようになって」

「ほんまになぁ・・・」

 よる おそくまで おとうさんと おかあさんが はなしていた>

 

今日紹介する絵本はこれ「ごめんなさいが いっぱい」

 

この絵本は多くの人に読んでもらいたい絵本の一つです。主人公は「ふうちゃん」とそのおねえちゃんの「わたし」。ふうちゃんが大好きな「わたし」は、いつもふうちゃんに絵本を読んであげたり、数も教えてあげたりしています。

 

<でもな・・・ふうちゃんは おしえてあげたのと ちがうことを いうときがあるんやで。ふうちゃんは かずをかぞえるのを まちがうことも あるんやで。「ふうちゃん、またまちがった」「あっ、ごめんなさい」>

 

おかしいなぁ、なんでまちがうにゃろう?と思いながら、それでもおねえちゃんやおとうさん、おかあさんもふうちゃんにいろいろと教えてあげていたのです。

でもそのうち・・・・<ふうちゃんは すぐに「ごめんなさい」を 言うように なった>のです。

この時のふうちゃんの顔が何とも言えず複雑な表情なのです。

こういうことをご自分の子どもや家族に感じたことがある方も沢山いらっしゃることでしょう。

「どうしてだろう?」という疑問とともに愛情が深ければ深いほど、もっと力を入れて教えてあげたくなるのです。

 

その理由は様々です。子供なりに精一杯頑張っているのに、どうしても理解できない。

「どうしてだろう?」という問いは実は当人自身が一番理由を聞きたい問いなのです。

でもどうしても理解できない。一生懸命自分に教えてくれる家族に本当に申し訳ない、という思いから

「ごめんなさい」という言葉とともにが。

そして理解できない自分を「家族にこれだけ迷惑をかけるなんて、なんて自分はダメな子なんだろう」という思いが沸き起こってきます。

 

ふうちゃんの場合は、視力に問題がありました。眼科医に行って、視力の低さを指摘され、メガネをかけたらふうちゃんははっきりと見えるようになったのです。ただし理解できない理由は視力だけとは限りません。見えていても形が認識できなかったり、そもそも何を聞かれているのかがわからない場合もあります。他のことに注意が行ってしまって、問われている内容に意識が向いていないのかもしれません。一人ひとり理由は違うので、やはり個人個人にあった支援と対策が必要でしょうね。

 

「ごめんなさい」・・・この言葉の背後にあるさまざまな思いと、なにが「ごめんなさい」と言わせているのか、その原因を理解して適切な対応をすることが大切であることをこの絵本は教えてくれました。

 

興味があるかたは、ぜひ一度本屋でこの絵本を手に取って見てください。