「すずちゃんは
ねんちょうの ゆりぐみさんになっても、
おしゃべりが できません。
スプーンも うまく つかえません。
きゅうに ないたり わらったり、
かみついたりすることも あります。」
という文章からはじまる絵本「すずちゃんののうみそ」。これは作者の竹山美奈子さんの娘・鈴乃ちゃんのことを描いた絵本です。
そのまなざしはあたたかで、しかしすずちゃんのありのままの姿をそのまま、描いています。そしてそれは「のうみそ」の働き方が少し違うということをきちんと、そしてわかりやすく説明してくれています。
「違う」ということは「何とどう違うのか」という視点によって変わってきます。確かにすずちゃんの行動は他の多くの子供たちの行動とは違うかもしれません。しかし逆に言えば、その他大勢の人達の行動が、すずちゃんと違っているとも言えるのです。また行動は違ってもこの世に生を受けた一人の人間としての存在や、親にとっての子供の存在は他の家族や人々と全く変わらないのです。
この絵本のほっこりとしたイラストを描いている三木葉苗さんにもすずちゃんと同じ「自閉症」という障害を携えて生きている妹さんがいらっしゃるとのこと。なるほど、どうりでその絵から暖かい愛情と、しかし現実をごまかさないタッチが感じられるのですね。
もし興味があれば一度本屋で手に取ってみて下さい。
表紙のすずちゃんの表情にひきつけられてしまうかもしれませんよ。
私の大好きな絵本のひとつです。
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