さて、前回に引き続き身体のレベルでの症状について。
こころのエネルギーを受け入れる容器として身体が機能し始めると、さまざまな身体症状が出てくるということを前回述べましたが、具体的にはどういう症状が出てくるのでしょうか?
いわゆる自律神経失調症状として出てくる症状がそれに当たりますが、めまい、冷や汗、動悸、血圧の変化、頭痛吐き気、耳なり等々いろいろな身体不調が出てきますね。
これらはストレスが原因の場合もあれば、実際に身体的な原因があるため、簡単にストレスが原因と決めつけてはいけません。必ず病院で調べてもらう必要がありますが、身体因が見つからないにもかかわらず症状が続く場合には、ストレスが原因であることが考えられます。
中でも最近私がよく出会うケースは虫歯が痛み出したり、目の不調を訴えられたりするケース。ただし、少しずつ調子が良くなって来られ始めると、むしろ「虫歯を治療したいと思います」とか「目の不調を眼科で見てもらおうと思います」というように、どちらかというと前向きに治療したいという意欲が湧いてこられるようです。
すべての症状がそうだとは言いませんが、私はそれぞれの症状にはやはり意味があると思っています。
例えば「虫歯」の場合。「歯」というのは、食べ物を咀嚼するときに使われる部分です。ですから生きるためのエネルギーを取り入れるためにぜひ必要なのです。そこに不調があると、気分的にもすっきりと元気が取り入れなくなるのは、当然です。
それに加えて、「歯」というのは象徴的に見ると「物事を咀嚼し、分析し、取り入れる」ことを役目としていいます。例えば自分に何か出来事が降りかかったときに、その出来事をどう分析し、どう解釈し、そういう風に自分の心の中に取り入れていくか、その最初の大切な役目を持っています。
「Aさんが私の顔をちらっと見た」という出来事を、ごく自然に健全に解釈すれば「たまたま目が合った」程度なのに、その解釈の仕方にゆがみがあると「Aさんは私の悪口を言っているのではないか」「私のことを馬鹿にしているのではないか」と悪意に取り入れることにあってしまいます。
このように「虫歯」というのは、物事の解釈の仕方、咀嚼の仕方、取り入れ方にゆがみを生じさせたりする結果を招く可能性があるのです。そういう意味で「虫歯を直したい」という発言を聞いたとき、私は心の中でとてもうれしく思います。前向きに、素直に、物事に向き合いたいというクライエントの意欲が出てきた、と思うからです。
同様に「目の不調」は物事の見え方に焦点を合わせ、客観的・冷静に物事を見る機能の不調を表すことがあります。 身体症状は(すべてではないものの)このように象徴的な見方をすることができると体験的に思っています。
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NIKO (金曜日, 16 10月 2015 19:10)
目の症状思い当たることがあります。
たとえば、ドライアイ、涙目、その他ですね。
私は様々な出来事を、色眼鏡で見ているのでは?
他人の行動を誤解してみていたりしている可能性があると思います。
そう考えると、クヨクヨしなくてもいいのでは
何となく楽になるかも.....
ありがとうございます。
岸井です (土曜日, 17 10月 2015 21:50)
NIKOさん、コメントありがとうございました。
こころの内側の状態が、目や耳、歯などを初めとするさまざまな身体症状として象徴的に表現されることがある、ということは確かにあるでしょうね。
私など、ちょっと気持ちの上で揺さぶられるとすぐに身体の不調として表に出てしまいます。わかりやすい、と言えばわかりやすいタイプです。(-_-;)
ただ、逆に身体症状がすべてこころの問題に結びついているというのは、ちょっと言い過ぎかもしれません。そこらあたりは慎重に判断する必要があるでしょうね。心身症かと思っていたために、本当に身体的な病気を見落としてしまっていた、という危険性はありますから。症状が極端な場合は、身体的な検査を十分したうえで、心理的な可能性を考えてみる方が安全だと思います。
でも一度考えてみてもよい観点ではないか、と常々思っています。
こころと身体の関係というのは本当に不思議ですね。