最近読んだ本の中でも大変勉強になったのがこの本
「親子アスペルガー ちょっと脳のタイプが違います」
調べてみると、漫画版もあるようですが、そちらはまだ未読。
この本の著者兼田絢未さんは、この本の発行当時は二人の男の子の母親で、彼女自身もまた、息子さん二人ともアスペルガー症候群と診断されたということです。
兼田さんの子ども時代のエピソードから始まって、息子さんたちの現在のエピソードまで色々なことが語られています。
なにより感心したのは、このお母さんが息子さんに接する態度・方法のすばらしさです。
ご自分の経験をもとに、息子さんたちの気持ちや困難に対して思いをはせて、丁寧に、しかも的確に、正直に向き合っていく様子に胸を打たれました。
学習上の困難にどう対応すればよいか、さまざまな工夫がなされていて、特別支援教育に関わる先生方にもとても参考になるのではないでしょうか。
例えばこんなエピソードが。
兼田さんの次男が幼稚園の時に「オレ、なめくじ大好き!」と宣言し、実際になめくじを腕に着けたままジャングルジムに上って遊ぶため、周囲の子どもたちが困っていたのでした。
しかし次男さんは、そういう周囲の子どもの気持ちがなかなかくみとれません。
かといって「なめくじ禁止令」を出すのは何かが違うと感じた(この感性が凄い!)兼田お母さんは、ソーシャル・ストーリーと「なめくじとの遊び方」を文章と可愛いイラストでノートに書いて、次男さんに見せたのだそうです。
ちょっと長くなりますが引用しますね。
<ソーシャルストーリー>
キミの気持ちと他の人の気持ちはちがいます。
キミは、なめくじが大好きです。
おともだちや先生などの、他の人には
なめくじが 大きらいという人もいます。
「なめくじ大好き」なキミの気持ちと
「なめくじ大きらい」な人の気持ち、どちらも大切です。
キミがなめくじと遊びたいとき、
「なめくじが大きらい」な人にイヤな思いをさせないで
キミが楽しく遊べるように工夫してみましょう。
キミの気持ちと他の人の気持ち
両方を大切にするための工夫です。
<なめくじの遊び方>
①なめくじと遊ぶ
②なめくじを花だんのもとの場所にもどす
③おともだちと遊ぶ
①②③の順番に遊びます。
また なめくじと遊びたくなったら
①からはじめて①②③の順番に遊びます。
と書いて、①②③の様子を可愛いイラストでわかりやすく書いてあげているのです。
もちろん「漢字にはすべてフリガナ付」で。
どうでしょうか、ほかにもまだまださまざまな参考になる対応方法や考え方が載せられていますが、この「なめくじの遊び方」を見るだけで、あとは推して知るべし、です。
繰り返し読みたい本の一つになりました。
興味のある方はどうぞ一度手に取ってみられてはいかがでしょうか。
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