さて、これまでA子・B子・C君と3人の例を出してきました(断っておきますが、この3人は私が関わってきた子どもたちではありますが、特定されないために影響のない程度で多少の情報の変更はしています)。最後に彼らに関わる時に何が大切なのか、私の考えをまとめてみます。
愛着を巡る葛藤には、基本的には「愛を求めているのだけれど、素直に表現できない」「愛を与えてくれても、素直に受け入れられない」という苦しみが背景にあります。
彼らの特徴として、他人と深い関係を結ぶことができずに、相手の表面的な態度や感情表出にこだわってしまうことがあります。ですから、相手の人の表面的な態度の裏に隠された感情や意図が読み取りにくくなったり、裏切られるのではないかと他人を信じられなくなったりしています。
その結果、人間関係の持ち方として、自分を受け入れてくれない場合は拒否をする、という頑固で柔軟性のない態度、天邪鬼でこちらの本音を試すような振り回し行動などが目立ってしまうのです。
そういう彼らに関わる者としては、彼らの反応に動揺せずに支え続ける安定感が求められてきます。いわば「母なる大地」としての安定感でしょうか。基本的信頼感という「拠って立つ足場」が彼らには欠けているのです。
それに加えて「根気強さ」。
コンプレックスと言う言葉を使えばそのままなのですが、複雑で絡み合った感情のもつれはなかなか解きほぐせません。私たちはそのもつれにもつれた屈折した感情のもつれを少しずつ根気強くほぐしていく作業をしなければならないのでしょう。
しかし根気強く関わり続けていけば、必ず愛着のもつれをほぐしていけると私は信じています。
「焦らず・慌てず・諦めず」この言葉を自分に言い聞かせて、
「一人の人間」として深く関わる前に、まずは「安定して安心感の与えられる環境」として、彼らのそばに在り続けたいものだと心がけることが必要だと思っています。
如何でしょうか。
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