A君は今、どうしているだろう?

4月になり、私の勤務している大学でも新入生の初々しい顔をあちらこちらで見かけます。そうなんです、4月は新しい生活の始まり。初々しい顔はこれからの未来に向かって希望に満ちています。

 

こんな時私はA君のことを思い出しました。

A君は以前私が関わっていた自閉症スペクトラムの青年でした。

 

彼の就労に際しては色々な方が努力しましたが、なかなかうまくいかず、結局ある就労継続支援施設で働くことになりました。それでもなかなか新しい環境になじめず、彼も精一杯努力したのですが、結局何か月かしてその施設を離れてしまいました。

 

人間関係に過敏な彼は、やはり彼自身のことを良く知ってくれている人々から離れて新しい人間関係に飛び込むのは重荷だったのかもしれせん。

 

A君と同じように離職した発達障害の人たちの将来はどう開けていくのか、私には心配でなりません。学校にいる間は、特別支援教育という環境の中で何とか乗り越えていけるのですが、卒業して就労した先では、学校と同じ支援を受けられるとは限りません。

 

新規な環境に耐えられず離職した彼らの次のサポート体制は、彼ら自身が助けを求めて福祉にアプローチしていかねば、待っているだけでは誰も手を差し伸べてはくれないのです。

 

彼らのような若者が、どうして良いかわからずに毎日無為な日々を過ごしてしまうことは社会資源としても大きな損失でしょう。若い労働力を何とか有効に活用するためにも、一見不器用に見えながらも関わり方によっては物凄い才能を発揮するかもしれない発達障害の人たちを有効活用できるシステムを作ってほしいものだ、と私は思っています。

 

A君は今どうしているだろう?

彼の力を発揮できる仕事につけていれば良いのだけれど・・・。