「今の人は、みんな『なんとかしなければ』と思いすぎる」
故・河合隼雄さんのことば。
自分の思い通りに事が運ばなかったり、自分の思いのほかの苦難に見舞われた時、「何とかしたい」と思うのはごく自然のことでしょう。ただ、「何とかしたい」が「何とかできるはず」と思い込むと、ことはそう簡単にはいきません。
だって、世の中のことで人が自分の力で何とかできることなどは限られているからです。
自然災害と呼ばれるものは、必ずしも地震や津波だけじゃないでしょう。人の心の中で起きてしまったことや人の運命なども、考えてみれば自然の範疇に入るのじゃないでしょうか。
だって誰だってわざと苦しもうとか、わざと落ち込もうと思う人はいない。
そんなつもりはなくても、どういうわけかそんなことになってしまっている。
これが誰かの悪意によるものとか、自分のミスによるものなら原因ははっきりしていますが、人が生きている中で起きてしまったことはほとんどの場合、どういうわけかそうなってしまうものです。
それを自分の力で「何とかできるはず」と思うのは、考えてみれば思い上がりなのかもしれません。それがかえって苦しみを倍増させる。
「何ともならないかもしれないけれど、何とかなることを願ってせいぜい努力だけはさせてもらう」そのぐらい謙虚に対応した方がかえって冷静になれるのかもしれません。
「何とかしなければ」と思いすぎると、「何ともできない自分」を却って卑下することになってしまいかねません。
如何でしょうか?
コメントをお書きください