身体症状症 およびその主な関連


身体症状症とその関連群について説明します。

身体症状症とは、御本人にとっては大変苦痛な身体症状があるのにも関わらず、それに見合った検査結果や原因が見当たらず、しかしその苦痛のためにご本人が症状にとらわれ、その結果至るかもしれない健康への重篤な不安にさいなまれて苦しんでいる状態です。

 

実際身体症状はあるということを前提にしているので「気にしすぎ」とか「考えすぎだ」という言葉がけは本人との関係を悪化させるだけでなく、「誰もわかってもらえない」という気持ちからうつ状態になったり、自分が求める診断や治療を求めてドクターショッピングをすることにもなりかねません。

十分良好な関係の下に安心感を育てていくことが必要でしょう。


病気不安症


病気不安症は、先ほどの身体症状症と比べ実際の身体症状は存在しないか、存在してもごく軽度です。しかし主観的な健康への不安や重い病気であるということの確信は深刻で、「自分は思い病気なのだ」または「病気にかかりつつあるのだ」と思い込み、その結果強い不安と心配から日常生活支障をきたすような状態を言います。もちろん「気にしすぎだ」「考えすぎだ」という言葉がけが功を奏するどころか、逆に疎外感を与えてしまうことがあるので注意が必要です。


変換症(機能性神経症状症)


変換症とは、実際に日常生活に支障をきたすほどの感覚あるいは運動面での症状があるのですが、その症状を裏付ける神経疾患あるいは医学的な疾患が見当たらない状態を指します。運動症状としては脱力・麻痺、振戦、異常運動、失声、歩行障害、けいれんなどが見られ、感覚症状としては知覚麻痺や感覚喪失、視力障害、聴力障害などがあります。いずれも本人的には深刻なのですが、医学的にはその原因や検査結果が見当たらす、何らかの心因性の症状であると思われます。